リニューアボー 自然エネルギー政策研究所 Institute for Renewable Energy Policies

フィンランド「オンカロ(高レベル放射性廃棄物最終処分場)」などを視察

使用済み核燃料の最終処分場「オンカロ」

3月24日は、早朝にヘルシンキを出発してオルキルオト島にあるオルキルオト原発」と「オンカロ(高レベル放射性廃棄物最終処分場)」の視察に向かいました。このふたつの施設は、フィンランド南西部のバルト海に面したエウラヨキ自治体オルキルオト島に建設されています。約4時間をかけて到着した「ビジターセンター」では、TVO社の広報担当ユハ・ポイコラ氏、Posiva社の広報部長ティモ・セッパラ氏が案内してくれました。ちなみに、Posiva社のセッパラ氏は、オンカロを紹介した世界的に有名な映画『100,000年後の安全』にも出演しています。

第3世代安全基準の「オルキルオト原発」

オルキルオト原発は2基が稼働し、3号機が建設中です。3号機はフランスのアレバ社とドイツのシーメンスによる第3世代の安全措置があり、福島原発事故の後に引き上げられた世界最高レベルの安全基準を持つ原発です。格納容器は飛行機の衝突にも耐えられるように2重になっていて、メルトダウンが起きてもメルトスルーおよび再臨界しないように「コア・キャッチャー」が設置されています。そのため建設は、予定期間の2倍かかっても完成しておらず建設費も予定の3倍近くになるといいます。

地下420mのトンネルに核廃棄物を埋設

フィンランドは原発依存率が高く、最終的には現在の約2倍の60%まで原発を増やす計画だそうです。原発から出る高レベル廃棄物(使用済み燃料)は、40年間は原発サイト内の燃料プールで中間貯蔵。その後に地下420mの最終処分場「オンカロ」に移して地層処分します。稼働機関は2020年から100年間。その後は「トンネルごとすべてを埋め戻して」閉鎖します。そして、国の管理に完全移行する予定だといいます。オンカロの完成時の想定仕様は以下の通りです。収容可能容量:9000トン(4500キャニスター)、トンネルの深さ:400-450 m 、トンネル総距離:60-70 km、トンネル合計数:200、トンネル総容積:2 百万?、※地上とのつながり: アクセストンネルと立坑、換気シャフト

 

キャニスターを埋設するためのトンネル

【オンカロ視察報告】移動用の緩やかな坂道のトンネルを地下420mまで約5km降りると「実証用トンネル」サイトに到着します。そこでは、使用済み燃料を埋設するためのトンネルが横に枝分かれしています。トンネルには一定の間隔で井戸のような縦穴が設けられています。その縦穴にキャニスターと呼ばれる容器をベントナイト粘土で上下を密封する形で埋め込むそうです(処分孔縦置き方式)。このキャニスターは、使用済み燃料棒を12束収納する鋼鉄製の筒状の容器と、それを覆う腐食を防ぐための銅製容器の二重構造になっていて、これを多重バリアシステムと呼びます。

 

Posiva社セッパラ氏らから説明を受ける

【原発運営と最終処分を請け負う企業】フィンランドには2カ所に原発があります。ひとつはロヴィーサ原発。「フォルツム・パワー・アンド・ヒート社」が運営しています。FPH 社は北欧の大手エネルギー企業フォルツム社の子会社です。上場企業ですが過半数の株式をフィンランド政府が保有しています。もうひとつがオルキルオト原発です。「テオリスーデン・ヴォイマ(TVO)社」が運営しています。TVO社の株式の26%はフォルツム社、30%は地元自治体が運営するエネルギー会社が所有しています。

多重バリアシステムのキャニスター

1995年に原発事業者であるフォルツム社とTVO社が、高レベル放射性廃棄物最終処分場(オンカロ)の調査・建設・操業・閉鎖を実施するために設立した民間企業がポシヴァ(Posiva)社です。【最終処分場「オンカロ(洞窟/隠し場所)」決定の経緯】フィンランドでは、1994年に原子力エネルギー法が改定され、1996年からは放射性廃棄物の輸出・輸入が禁止されました(それまではロシアに返還)。TVO社は、高レベル放射性廃棄物のための最終処分場の検討を1980年の原発建設の際に始めました。

ベントナイト粘土で密封(Posiva社)

「気象と環境と人間」の影響から避けられる約18億年前にできた安定した岩盤に400mの深さの処分場を構想。岩盤の特性を調査するために50本以上のボーリング調査から5か所を選定、オルキルオトが選ばれた。2000年にエウラキヨ議会が受け入れを決定(財政的な優遇措置は、固定資産税の優遇措置のみ)。2001年に国会が承認して、最終処分地「オンカロ」建設を決定しました。

 

キャニスター用の竪穴をのぞく

【高レベル放射性廃棄物の処分(および廃炉)費用】フィンランドでは原子力法で放射性廃棄物管理の責任体制を規定していて、(エネルギー政策の)権限は雇用経済相が持っています。規制は放射線・原子力安全センター(STUK)が担当。高レベル放射性廃棄物の処分(および廃炉)費用は、雇用経済省が所管する「国家放射性廃棄物管理基金(VYR)」に積み立てられています。

キャニスター用の竪穴

この基金に積み立てを行う主な廃棄物発生事業者はFPH 社とTVO 社です。処分費用の見積額は、オンカロの建設や操業、閉鎖の実施主体ポシヴァ社が算定します。2010 年時点での処分費用の総額は、約33.2 億ユーロ(約4,420 億円)。発電所の稼働年数等を基に5,500トンの処分量を前提とした金額です。内訳は、オンカロの建設費などの投資費用が約7億ユーロ(約930億円)、操業費が約24.2 億ユーロ(約3,210 億円)、閉鎖・廃炉費用が約2億ユーロ(約270億円)です。(※1?=133円)『諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について』(2014年版)

岩盤の地層にも古い活断層の後が

【解説】高レベル放射性廃棄物の猛烈に強い放射性が、自然界にあるウラン鉱石と同程度の放射能レベルになるまでに10万年かかると言われています。利潤を求める民間企業であるポシヴァ社としては、オンカロの管理業務をどのように考えているのでしょうか?経営的にはペイしないのではないか?という疑問を持ちました。その質問をセッパラ氏にぶつけてみました。ポシヴァ社広報部長の返答は以下の通りです。操業を始める2020年から100年後には、廃棄物で満たされた処分場をすべて埋めて閉鎖します。高レベル放射性廃棄物が「永久処分」されたことをSTUK が確認した後は、廃棄物の所有権(管理義務)は国に移り、廃棄物に関する全ての責任を国が負うことが原子力法で規定されています。

地下420mは電気がなければ暗闇の世界

つまり、100年後までの処分用の費用も電気料金から積み立ててあるから経営的にも成り立つ(それ以降に経費が発生した場合は国が負担する)ということなのです。独立した企業(経営体)だと言っていたのに、この返事には驚きました。しかし「オンカロ」も絶対に安全だとは言えません。一カ所に数千トンという膨大な量の高レベル廃棄物(プルトニウムやウラン)がかなりの高密度で集積するリスクは計り知れないからです。

10万年後には放射線量が下がって…

懸念されている「人間(による危険)要素」として、10万年も経つ前にそれらを掘り出して原発の燃料や核爆弾の原材料として使おうとするリスクがないとはいえません。それにしても、地震大国の日本にはフィンランドのように18億年も安定した岩盤の地層は存在しません。果たして、使用済み核廃棄物の最終処分場のない(全国の原発サイトでも核廃棄物の置き場の余裕がない)日本で、原発を再稼働することが許されるのでしょうか?
※参考資料:『諸外国における高レベル放射性廃棄物の処分について
経済産業省 資源エネルギー庁 発行

 

 

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