リニューアボー 自然エネルギー政策研究所 Institute for Renewable Energy Policies

ポーランド下院議会「エネルギー資源に関する特別委員会」などで講演

菅元首相@ワルシャワ

再生可能エネルギーの関係者と懇談

3月21日は早朝にポーランドのワルシャワへ移動。シェラトンホテルにて、橘と菅顧問が環境・再生可能エネルギー関係者との意見交換会を行いました。参加者は以下の通りです。再生可能エネルギー研究所所長のグジェゴジ・ヴィスニウスキ博士。ワルシャワ工科大学教授・熱工学研究所副所長のドロシー・シュヴィドゥック博士。ポーランド緑の党代表のアニエスカ・グルジベックさん。MuSES財団理事長のアンジェイ・スワヴィンスキ氏(今回の訪問のコーディネーター)など。菅顧問からは福島原発事故の際の首相として経験した原発事故の過酷さについて。また総理退陣の条件として導入した再生可能エネルギー法の影響などについて報告しました。専門分野を持つ参加者からは関連の質問が多数出されました。

 

菅もと首相と下院議長

エネルギー資源に関する特別委員会で講演

【エネルギー資源に関する特別委員会】午後からは、ポーランド国会で開催された下院議会「エネルギーとエネルギー資源に関する特別委員会」に参加。所属する超党派の国会議員団に対して菅顧問が講演しました。場所は下院議会C棟102会議室で、参加者は以下の通りです。ヴァンダ・ノヴィツカ下院副議長(女性・人権活動家、パリコト党を離党して無所属)、アンジェイ・ザヴィンスキー下院議員:(エネルギー資源に関する特別委員会委員長)、市民プラットフォーム議員団長)、アンナ・グロツカ下院議員(みんなの運動所属:欧州で初めての性転換者の国会議員)、ヴァルデマル・パブラク下院議員(元首相、元経済大臣)など。他にもエネルギー委員会の理事メンバーを含めて、意思決定の権限を持っている超党派の国会議員メンバーが参加しました。

菅元首相@エネルギー特別委員会

超党派の国会議員が参加

ポーランドは、2010年に日本と原子力協定を結び、安倍首相が原発輸出のトップセールスを行った国のひとつです。現政権は、エネルギー安全保障の観点からも原発の建設を予定しています。ただポーランド議会では、再生可能エネルギーの方向性も模索されていて各党とも色々な意見があります。菅顧問は、総理大臣として陣頭指揮を執った福島原発事故について、1号機から3号機までがメルトスルーから水素爆発に至った経過や、最悪の場合には東京を含む250km圏内の5千万人が避難する可能性もあったことなどを報告。自衛隊や警察、消防など行政機関関係者による決死の努力に加えて、いくつもの「幸運な偶然」が重なったこともあり(4号機の燃料棒プールでの再臨界が)避けられたことを報告しました。


エネルギー特別委員会を傍聴する橘ら

そして、福島ではまだ14万人が避難生活を強いられていること。広域の除染や被災者への賠償、廃炉や使用済み核燃料の最終処分問題などを考えたら、原発が決して安いエネルギーではないこと。そして原発はアメリカでも減ってきていること。日本でも再生可能エネルギーが「固定価格買い取り制度(FIT)」の導入によって急速に発展していること。条件が揃えば、ドイツのように2050年には80%を目指せる可能性があることを報告しました。参加者からは、原発の賛成派も反対派からも熱心な質問がありました。特にFITに関しては、具体的な買い取り価格に関する値段設定やコストなどについての質問が出ました。委員会での報告に続いて、ノヴァッカ下院副議長、ザヴィンスキー委員長、スワヴィンスキ理事らと国会内で記者会見を行いました。

 

菅元首相がポーランド国会で講演

東日本の地図を示して話す菅顧問

【一般市民との公開意見交換会】この後、 橘と菅顧問はポーランド国会議員団と一般市民との公開意見交換会に参加しました。テーマは「ポーランドと日本による再生可能エネルギーに関する協力関係などについて」。参加者は、引き続き参加のザヴィンスキー委員長、パブラク下院議員(元首相)の他に、ピーター・シエスリンスキ下院議員(新技術と革新に関する委員会メンバー)および超党派の国家議員団、元欧州議会議員、環境NGO、脱原発団体の関係者、在ポーランド日本人などでした。最初に、菅顧問が福島原発事故のその後と日本の再生可能エネルギーについて報告しました。

 

経済大臣も務めたパブラク元首相

経済大臣も務めた経験のあるパブラク元首相は、市場で再生可能エネルギーの売買ができるという革命的な変化を起こすための「固定価格買い取り制度」導入のタイミングなどに関して熱心に発言と質問をしました。具体的には、一定の価格が保証されて蓄電技術が発展すれば一般家庭も買電をする電力事業者になり、大手電力会社の競争相手になる可能性があると発言。太陽光発電設備が10年で減価償却できるなら「再生可能エネルギーのコストが高い」という固定概念を打破できるのではないかと質問しました。また、前ポーランド緑の党共同代表のダリウス・ゼッド氏が、ポーランドのエネルギー政策を考える場合には(再生エネ推進の)EUの共通エネルギー政策を念頭に置く必要があることを指摘しました。

固定買い取り制度(FIT)に関する質問も

市民からも、両国で脱原発や再生可能エネルギーの分野で協力していく可能性についてなど多くの質問が出されました。菅顧問は、原発の輸出を進めていた立場から脱原発に変わった理由を聞かれて、廃炉や高レベル放射性廃棄物の処分コストが膨大であることや、被災者が家族が3年が経ったいまでも引き裂かれて生活せざるを得ない状況であること。そしてm福島原発事故では「250km圏内の5千万人が避難する」という最悪の事態が十分にあり得たことなどについて、地図を掲げて説明しました。

菅元首相の講演@ワルシャワ

ワルシャワ経済大学で講演する菅顧問

【ワルシャワ経済大学での講演】この日の最後に、ワルシャワ経済大学3号館第1講堂で菅顧問が、発生当時の総理大臣として陣頭指揮を執った福島原発事故とその後の経過について講演しました。講演会には、大学生以外にも会社帰りのサラリーマンや女性たちも来場しました。学生たちからは、一度事故が起きれば民主主義制度そのものを破壊するぐらい甚大な被害をもたらす原発をなぜ作ったのか?という根源的な質問が出されました。

 

学生たちから多くの質問が出される

他にも、原発事故による被災者の被害を含めた社会的・経済的なコストについて。また日本における太陽光発電や蓄電などの技術や再生可能エネルギーで2050年代までに80%を達成する可能性や、固定価格買い取り制度(FIT)のこと。他にも日本とポーランドとの技術協力に関する質問などが出ていました。講演後には、菅顧問のいるステージに参加者が列を作って、時間切れで言えなかった意見などを伝えていました。

 

 

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