リニューアボー 自然エネルギー政策研究所 Institute for Renewable Energy Policies

BW州太陽エネルギー・水素研究センターとオブリッヒハイム原発の視察

意見交換をする橘と菅顧問

3月20日の午前中には、代表理事の橘と菅顧問が「太陽エネルギー・水素研究センター(ZSW)」を視察しました。最初に最新の研究などの全体像を専務理事のフリッチョフ・スタイス博士がしてくれました。スタイス博士によると、ZSWは公的機関と民間企業からの委託を(半々で)受けて素材研究や技術移転のための研究を行っています。ZSWの最新の技術開発の成果としては、太陽光発電では世界最高(20.8%)の発電効率を達成したといいます。

 

メタン(CH4)生成装置

また、新技術の太陽発電をテストフィールド(ドイツ・スペイン)で実地試験もしているそうです。現在は太陽エネルギーの調達コストを下げるための研究を、産官学の共同プロジェクトで4000万?の助成を受けて行ったり「リチウムイオン電池」の研究などを行っています。ドイツでは、すでに8万MWが再生可能エネルギーで生産されていて、天気のいい日にはなんと総需要の70%をカバーできるそうです。このベースが拡大すると余剰電力が発生する可能性があるので、それを水素電池などの形で貯蔵できる仕組みを検証しているとのことです。

 

BW州の公用車には水素電池車も

また再生可能エネルギーは、天候などで発電量が変動するため、発電した電気をどう貯蔵するかが重要になってきます。ドイツには、自治体によるガス供給の全国ネットワークがあります。でも、まだ水素供給のインフラがないため「水素をメタン化(CH4)」して、天然ガスのパイプラインや地下のタンクなどで貯蔵する構想「パワー・トゥー・ガス戦略」プロジェクトを検証中です。すでに、メタンガスで走るアウディの車1500台を使った実証実験(市場化のための技術移転)を始めているとのこと。連邦政府レベルでは、4人の専門家による独立委員を設置して検証・分析にあたっています。ちなみに、BW州環境省の自動車は、水素電池車を採用しているそうです。

EmBW株式会社のオブリッヒハイム原発

【オブリヒッヒハイム原発】午後には移動して、2005年に廃炉作業を開始して現在も廃炉作業中のオブリヒッヒハイム原発を視察しました。EnBW(エネルギー・バーデン・ヴュルテンブルグ)株式会社が管理しているオブリッヒハイム原発の廃炉工程などについて、EnBW原子力有限会社代表取締役のヨルグ・ミシェル氏が説明してくれました。EnBW株式会社はヨーロッパ最大級のエネルギー供給会社です。業務内容は電力、ガス、再生可能エネルギーなどの発送電、輸送、供給。そして原発の建設・運営から廃炉までを行います。従業員は2万人。昨年の売上は約200億ユーロ(2兆8千億円)です。

EnBW原子力有限会社代表取締役ミッシェル氏ら

その子会社の「Enkk(原子力有限会社)」は、フィリップスブルグ原発/ネッカーヴェストハイム原発/オブリッヒハイム原発と3つの原発の運転・停止・廃炉を行っており、従業員は約2000人です。オブリッヒハイム原発は、2005年から廃炉作業中。運転を停止した原発から、使用済み燃料を取り出して中間貯蔵施設に移動して40年保管します(2002年の原子力法改正で燃料の再利用は禁止に)。高度に放射性を帯びた圧力容器などの鉄鋼は80年間ほど保管して、放射線量が下がったら処理作業に入ります。

リモコンによる廃炉作業をモニターで視察

それ以外は、高レベルの放射線から作業員を守るためにリモコンによる遠隔操作で解体作業を進めています。セキュリティーのために写真撮影は禁止されたので、この写真はEnkk社のカメラマンが撮影してくれたものです。慣れた手つきでリモコンを操る作業員さんが見ているモニターには、放射線を遮蔽するために水に浸された高線量の圧力容器の一部を小さな塊に切断する様子が映し出されていました。いくら慣れた作業であっても、リモコンでの作業では、巨大な圧力容器をすべて処理するには相当な時間がかかるのだろうと思いました。

圧力容器の解体作業

これ以外の汚染度の低い部品などは、化学薬品やサンドブラストなどで除染すると、98%は普通の「廃棄物経済(循環)」に戻すことができるということでした。でも、いくら除染されたとはいえ、原発に使われていた金属がリサイクルされて普通の廃棄物循環の輪に戻ってくるのはあまり気持ちのいいものではないと感じました。今回のプレゼン資料には、「我々は廃炉できる!」と力強い文字が躍っていましたが、経営陣は(法律で決まっている)2022年末までには残りの2基を廃炉にする前提で経営戦略を立てています。風力発電をはじめ再生可能エネルギーの割合を拡大して送電網を拡充するなど、市場の競争構造の変化に対応した経営を実現することを目指しているという説明が印象的でした。

 

 

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