リニューアボー 自然エネルギー政策研究所 Institute for Renewable Energy Policies

独バーテン・ビュルテンブルグ州首相クレッチュマン氏らとの会談

菅元首相とクレッチュマンWB州首相

クレッチュマンBW州首相と官邸で会談

3月20日には、バーデン・ビュルテンベルク(BW)州のクレッチュマン首相を代表理事の橘と菅顧問が州首相官邸に訪問しました。忙しい州首相との会談は、EU政策・国際担当部長ヴァーナー・シェンピ氏らも一緒に朝食ミーティングという形で行われました。クレッチュマン氏は緑の党創設期からの幹部のひとりで、現在は全国16州の首相会議の議長(連邦参議院議長)も務めています。クレッチュマン氏は、昨年の5月に連邦参院議長として初めて日本を訪れました。

クレッチュマンBW州首相

BW州は、50年近く保守党のキリスト教民主同盟(SPD)の牙城でした。それが2011年の福島原発事故の直後に行われた州議会選挙で、1980年代から「脱原発」を訴えてきた緑の党に対する支持が急騰。25%近い得票率を得た緑の党は社民党(SPD)との連立政権を樹立して、クレッチュマンさんが緑の党としては初めての州首相に就任。それ以来、手堅い政権運営を続けています。その成果により、州都のシュトットガルト市長も緑の党のフリッツ・クーン氏が務めています。

ベンツの本社があるシュトットガルト

BW州は、ベンツやポルシェなどの自動車関連企業が本拠地を構え、機械や電子機器を輸出するドイツ経済のけん引役でもあります。BW州やバイエルン州などドイツ南部地域は、自動車産業など経済活動が盛んで電力需要も大きくこれまでは電力の50%を原発に頼ってきた地域ですが、2022年末までの原発全面停止に向けて大胆な「エネルギー転換(Energie Wende)」を進めています。クレッチュマン氏は、脱原発が成り立つための3つの柱は「エネルギーの安定供給、コストの認識、環境への配慮」だといいます。ドイツではエネルギー集約型の企業は高い電力を買う義務を免除されているそうです。

意見交換する橘と菅顧問

そして、今後は特に可能性の大きい風力発電を伸ばしていきたい。その場合の課題は、風の強い北ドイツで発電した電力を南ドイツに送りたいが南北間の送電網の整備計画が進んでいないことだと教えてくれました。また、風力発電のさらなる導入を求める市民や環境保護団体の声もあるけれど、送電線が通るだけの地域では住民の反対も強いそうです。印象的だったのは、再生可能エネルギー事業の特徴として、これまでのように電力会社や大口の投資家ではなく国民運動として市民による小額の投資組合の設立が進んでいるという話でした。総発電量の50%以上を投資組合を含む個人がまかなっている(農家がそのうちの11%)という事実は、「エネルギーの民主化」という意味でもすごい実績だと思いました。

 

菅元首相とウンターシュテラーBW州環境大臣

ウンターシュテラーBW州環境大臣と会談

その後、BW州環境省に移動してフランツ・ウンターシュテラーBW州環境大臣と会談しました。EU・国際関係担当のリュックさんや、アジア担当ヘルトマンさんも同席してくれました。環境大臣によれば、BW州では環境省がエネルギー政策も管轄するとのことでした。現状では、すでに再生可能エネルギーで総発電量の約23%をカバーしているそうです。晴天の昼間には、太陽発電で3500MWを得られて、これは需要の30~40%をカバーできる量だそうです。

環境大臣の話を聞く橘代表理事

州内には畜産業などから出る糞尿などを活用したバイオガス発電の拠点も多いそうですが、これまでコストが高いという理由で広がっていない風力発電で将来的には10%をカバーする計画を立てているとのこと。つい先日は、州内最大の電力会社に売却した配電(配熱)網を州が買い戻すことを決定。北西部のマンハイムでは、50km圏内に電力や地域熱を供給しているそうです。また、地域のゴミなどの廃棄物処分場で燃やした際の熱や電力を利用できるように配慮しているとのことでした。

熱心に質問する菅顧問

BW州には、今では再生可能エネルギーの分野で著しく成長している企業が多くあり、その分野の製品を欧州はじめ世界中に輸出している。その結果、様々な雇用が生まれてきている。ドイツで最も重要な研究機関も当州に拠点を置いているんです、と環境大臣は熱く語りました。例えば、「太陽光・水力発電研究所」などがシュトゥットガルトにあり、BW州はドイツの再生可能エネルギー研究における最重要拠点になっているということです。

 

ウンターシュテラー環境大臣らと

ドイツでは、2000年に「再生可能エネルギー法」による固定価格買い取り制度(FIT)を導入して以来、国を挙げて取り組んできた再生可能エネルギー産業の発展によって、約40万人もの雇用を創出しています。そして、自然エネルギーが総発電量に占める割合は、2013年の段階ですでに25%近くに達しています。ドイツに比べて気温も高く日照時間も長い日本。海岸線も長いので、太陽光発電にも風力発電にも適しているといわれています。ドイツでは、自然エネルギーによる発電が原発による発電量を大きく超えています。世界で一番の地震大国日本が、リスクの高い原発に依存するのを止めて、自然エネルギーに取り組まない理由はないのではないでしょうか?

 

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