リニューアボー 自然エネルギー政策研究所 Institute for Renewable Energy Policies

菅直人の自然エネルギー提案の記事

脱原発ロードマップ第一次提案を発表

民主党「脱原発を考える会」は、2012年6月27日、「脱原発ロードマップ第一次提言」を発表した。

 

「脱原発を考える会」は、菅直人(衆院議員=顧問)、江田五月(参院議員=顧問)、近藤昭一(衆院議員=代表)、平岡秀夫(衆院議員=事務局長)、岡崎トミ子(参院議員)、辻元清美(衆院議員)、福山哲郎(参院議員)を世話人とし、6月27日現在72名の民主党衆参国会議員が参加、賛同する任意団体。

 

専門家も交えて10回の会合を開き「脱原発ロードマップ第一次提言」をまとめた。「遅くとも2025年までの原発稼働の完全停止と、そのための省エネ2割、再生可能エネルギーの4割導入などを掲げる。一次提言の内容は以下の通り。

 

脱原発ロードマップ第一次提案

脱原発ロードマップを考える会が「脱原発シナリオ」を協議

脱原発ロードマップを考える会(民主党の議員連盟)は22日、国会内で会合を開き、近く発表する提言の方向性について協議した。

 

同会ではこの間「脱原発ロードマップ」を作成するために、省電力や再生可能エネルギー、原子力発電所の状況などについて、専門家らを交えて検討を続けて来た。今回の会合では、「2020年脱原発」、「2025年脱原発」、「2030年脱原発」の3つの案が示され、集まった約30名の国会議員で議論された。参加した議員からは「現在停止している原発を再稼働させることがいかに困難か」「3.11以降国民の脱原発に対する思いは強い」「更に積極的に脱原発を打ち出すべき」など脱原発に積極的な意見が相次いだ。

 

このため原子力発電所の再稼働をしなかった場合の試算も含めて議論を行うことになった。今後は、脱原発を行った場合に電力会社の経営や日本経済にどのような影響があるのかも含めて検討し、今月末にも「脱原発ロードマップ」の第一次提言として発表される見込みだ。

菅直人顧問に聞く 自然エネルギー研究会にかける思い

当会発足にあたり、顧問となった菅直人前首相に研究会の方向性と抱負について語って頂きました。

 

<原発事故が活動の方向性を決定づけた>

 

 

私はかなり古くから自然エネルギーには関心がありました。

 

例えば1980年頃、一年生議員の時にアメリカの風力発電のテスト・センターを視察したり、この10年くらいはバイオマスの施設を視察したりしていました。今回自然エネルギー研究会の顧問として積極的に参加しようと思ったのは、そうした古くからの関心もありますが、何と言っても、昨年3月11日の原発事故を経験したことで今後の私の活動の方向性が決まったからです。

 

菅直人

菅直人顧問

原子力発電所については、総理としても政治家個人としても3.11までは安全性を確認して活用して行くと言う立場でした。しかし、原発事故を体験して、技術的にどこまでやっても安全とは言えない。つまり原発が無くても良い社会をつくることが、最も安全なことだと考えるようになりました。原発に依存しなくても良い社会をつくるには、再生可能な自然エネルギーで必要なエネルギーをまかなって行くことが条件になります。それを進めるのが3.11の事故を経験した私の役目だと考えました。

 

総理退任後、多くの皆さんの協力を得ながら様々な活動を続けた結果、今回自然エネルギー研究会が立ち上がることになり、私も中心メンバーの一人として顧問という形で参加をすることになりました。

 

<自然エネルギー研究会に望むこと、やってみたいこと>

 

実は総理在任中から、再生可能エネルギーの推進はスタートしていました。特に大きかったのは、いわゆる再生エネルギー促進法案、固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)の法案を昨年8月、総理としての最後の仕事として通過させたことです。これによって、政策的にも再生可能エネルギーを従来の原子力エネルギーや、場合によっては化石燃料に代わって、主要なエネルギー源とする方向性がスタートしました。そうした中で自然エネルギー研究会としては、次の3つの分野の活用が必要ではないかと思っています。一つはFITを軸にして再生可能エネルギーを増やしたり、エネルギーの基本計画などについても従来の原子力に偏重したものを見直すといった政策的な分野での推進。二つ目は、自治体や企業やNPOなど色々な人達がこの問題に積極的に関わっている中で、それを応援したり一緒になって進める実践についても、小さい組織ながらも力を尽くしたい。三つ目は国の内外に対する発信です。

 

福島原発事故があったにも関わらず、世界ではまだ沢山の原発を新設する動きが続いています。今回の事故の直接の原因は地震と津波でしたが、テロとか内戦、戦争といった理由で、原発が破壊されることもあり得る訳です。また、高レベル放射性廃棄物の問題は国境を越え、世代も超えた問題です。こうした観点から、世界の流れを脱原発依存の方向に持って行く必要があると考えます。こうしたことをこの研究会を一つのベースキャンプとして進めて行きたいと思っています。自然エネルギーの分野は太陽光発電や風力発電、バイオマス、発送電分離や電池、さらには、普及して行く上で超えて行かなければいけない技術的、社会的な課題があり非常に広範囲です。研究会では一つのテーマを深く掘り下げると言うよりも、自然エネルギー全体を網羅的に扱うことになると思います。ただ、そうした中でもポイントとなるような技術や仕組みについては、顧問としても積極的に提案して行きたいと思います。

 

※具体的な提案については、「菅直人の自然エネルギー提案」をご覧下さい。

菅直人の自然エネルギー提案 第1回

<自然エネルギーを水素に変えて活用する大胆な試み>

 

デンマーク視察

デンマーク視察時の写真。H2の看板が水素を表現している。

デンマークでは70年代に原子力発電所を造るという政府の案に対して大議論が起き、最終的には原子力発電所は造らないで、自然エネルギーを積極的に進めるという決定を議会が行いました。

 

私は今年の1月にデンマークを視察したのですが、その時特に私の関心を引いたのは、風力発電所で出来た余剰の電力を使って水を分解して水素を作り、その水素をパイプで各家庭に送り、小型燃料電池を使って電気と熱を発生させるシステムでした。まだ実験的な段階ですが、街単位で再生可能エネルギーから水素をつくり、それを利用するという意欲的な試みでした。

 

私がびっくりしたのは、これまで水素という物は爆発性が高いという事で、扱いにくいとされて来たのが、身の回りでも使えるということでした。これまでも天然ガスとかプロパンガスは家庭でも使って来たのですが、水素は私が見た中では初めてだったんです。

 

従来から自然エネルギーの問題点とされて来たのは、風とか太陽といった自然条件にエネルギーの発生量が左右されるので、原子力発電などに比べて安定的にエネルギーを供給することが難しいと言うことでした。これをクリアするために様々な電池や揚水発電などの手段が検討されていますが、風力や太陽光などの自然エネルギーを一旦水素に変えて、それを大量に蓄え、安全で効率的に輸送することができれば、極めて大きなブレイクスルーになります。

 

水素の活用そのものは、燃料電池の燃料などとして既に始まっています。我が国では九州大学の水素エネルギー国際研究センターなどで水素の活用を研究していて、私も4、5年前に直接行ってお話を伺いました。最近ではトヨタ自動車なども水素を用いた燃料電池車の実用化に向けて積極的に研究を進めていると聞きます。現在、こうした水素は石油や天然ガスなどからつくられるものが主ですが、将来これを自然エネルギーに置き換えて行くことも可能です。そうした意味で、水素というものに非常に可能性を感じています。

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